フーリエ変換核磁気共鳴装置 FT-NMR

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核磁気共鳴装置(NMR)は、医薬品や農薬などの有機化合物、およびビニールやポリエチレンなどの高分子材料、そして核酸やタンパク質などの生体物質を中心とした炭素、酸素、水素、窒素、リンといった原子からなる有機物の分析を効果的に行える。特に、その原子のつながりである平面構造や立体的構造まで知ることができるため、これら有機化合物の分析では中心的な位置を占めている。材料評価室では、平成23年8月に従来のNMR測定装置に代わり、FT-NMR測定装置JNM ECS-400を導入した。

JNM ECSシリーズは、高安定度・高精度デジタル分光計、高感度プローブ、統合グラジエントシムを有し、全自動ワンボタン測定が可能である。高感度プローブ(ROYALプローブ)は、従来のナチュラルプローブと比較して、1H感度を約2倍に向上させ、なおかつ同程度の13C感度をもつプローブである。これにより、COSYのような2次元NMR測定では、より短時間に高精度な測定が可能となる。さらにこれまで高精度な測定が困難であったHMQC やHMBCなどのインバース測定では、非常に高い分解能によりプロトンとカーボンのクロスピークを高精度に測定できる。また測定可能核種には、1H, 19F, 31P~15N,39K~109Agがある。

従来のNMRでは、測定する試料に異なる成分が複数存在すると、各成分のピークが重なり、スペクトルの解析が困難であった。そのためLC-NMRやGPC-NMRでは、カラムクロマトグラフィーで分離精製し、直接NMRでの解析が行われる。しかしECS-400では、Diffusion-ordered NMR spectroscopy(DOSY法)により、混合物試料の分離解析が可能である。DOSY法では、混合物のそれぞれの分子種を自己拡散係数の違いを利用してNMRスペクトルを分離する手段であり、化学的または物理的な作用を試料に与えないことから、非破壊的なスペクトル測定が可能である。また、有機合成途中の生成物を直接解析することにより、目的化合物の生成を確認することが可能である。このDOSY法とLC-NMRでは、縦軸の成分こそ異なるが、2つの測定結果を比較すると、非常に似通った結果が得られる。さらにDOSY法には、COSYやHMQC、HMBCのような通常の2次元NMRスペクトルに拡散係数軸を加えた3次元NMRも存在し、シクロデキストリンのようなゲスト包接機能を有する化合物の包接挙動解析にも応用可能である。その中でもNMRによる解析は化学シフト変化から錯形成を確認することや、差NOEまたはNOESYを使った立体構造解析が中心に行われる。

地域連携テクノセンター3階分光分析室奥のNMR室にあります。

nmr図1.シクロデキストリンとグルコースのDOSYスペクトルデータ(データ提供:JEOL RESONANCE)